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「『食』というものは切っても切り離せないものです。だからこそ未来につなげていかなければならない。もちろん日本以外の世界。いや、地球のことも考えないといけない。いわば”命のバトンパス”だと私は信じています。」
そう語る創業者の目には未来を見据えた覚悟が現れていた。
畜産は環境負荷が高い
「畜産を始めてしばらくたちますが、ここまで持続的な畜産を行っている所はないでしょう。」
SKIMAファームの創業者の和田。従来は他の牧場と同じような生産方式で畜産を行っていた。しかし、SDGsの世界的な広がりなどから”持続的な畜産とは”という部分に興味をもち、自ら勉強し知識を深め、これまでの生産方法を一新することを決めた。
「前々から畜産は環境負荷が高いということは言われ続けていました。しかし、いざその問題に取り組もうとなるとコストもかかる。ですから一種のかけでしたね。採算がとれるかどうか」
当時は社員からの反対もあったという。それでも変更に踏み切ったのはなぜなのか。
「単純ですよ。食は一生必要になる。だからこそ、そこに問題があってはならないと思うんです。その食に通じることが地球に負荷を与えている。地球あってこその人間の生活ですから。地球は私たちの本当の”食卓”ですからね。」
地球にも人にも優しい畜産
SKIMAファームの牛はゲップに占めるメタンの排出が少ない。牛のゲップといえばメタンを含み、地球温暖化の原因の一つといわれている。このメタン排出を少なくする飼料を使っているのがSKIMAファームの特徴だ。
さらに食べる人への配慮も忘れない。
「EUでは抗生物質の利用も禁止されている。世界では動物だけでなく、それを食べる人のことも考えているんですよね。つまり、1つのことを見ているんじゃないわけですよ。サプライチェーン全体を通して考えないと。
それがいま求められていることだと思います。」
このようにサプライチェーン全体を通して見ることで、海外で起こっている問題も明らかになった。
海外輸入飼料現場で起こっている問題
「日本は飼料を輸入に頼っていますが、その飼料がどのように作られているか知っている人はどれくらいいるんでしょうか。飼料現場では問題はたくさんありますよ。森林伐採とか児童労働とか。
そこに目をつぶっていていいんでしょうか? 同じ地球というゆりかごに暮らす人間ですから。人種や国籍は違えどいわば“家族”なわけですよね。自然だってそう。ちゃんとした自然がないと我々の事業もできないわけですよね。持続的な畜産をやってますっていうのは簡単です。でも大事なのは国内だけじゃなくてその先、海外も目を向けないと本当の”持続的な畜産”、最近の言葉でいえば“包括的なSDGsに取り組んでいる”とは言えないわけですよ。」
国内での問題を解決するだけでなく、海外にまで目を向けた和田さん。こういった考え方が他の畜産農家とは違う視点なのかもしれない。
未来につなげたい願い
「畜産のサプライチェーンは長く、とても複雑なものです。だからこそ一部分だけ見て、問題が解決したとは言えない。包括的に取り組むからこそ、達成されるべきところであり、誰一人取り残してはいけないのです。
世界で求められていることを日本の曽於市から実現していく。そうすることで輪が広がり、“人にも地球にも優しい”新しい畜産という形が出来上がっていく。この畜産を通して私たちは世界中の人たちが手と手を取り合う世界の実現を目指します。
著者プロフィール
世界中の人たちが手と手を取り合う世界の実現を目指す。